税務署の調査能力を甘く見ないで!リスクが大き過ぎる相続税脱税はやめよう

相続税の納付は国民の義務ですが、できるだけ少なく納めたい、できることなら納めずに済まないだろうかと考える人もいることでしょう。
実際、相続税の脱税を摘発される個人や企業は後を絶ちません。

今回は、相続税の脱税を試みるべきでない理由を解説します。

相続税の脱税は「犯罪」になる可能性がある

一般的には、「脱税イコール犯罪」という認識が浸透しているでしょう。
しかし正確に言えば、すべての脱税が犯罪とはなりません。

法律上の犯罪と見なされる脱税とは、金額にしておよそ1億円以上の脱税かつ悪質性が疑われるもので、実際に起訴されたケースのみです。

犯罪にあたる脱税に対しては、国税庁の査察部、通称「マルサ」による強制捜査が行われます。
マルサの捜査の結果として起訴に至った場合、その脱税は犯罪となります。

計算ミスや申告忘れなどのうっかりミスによるもので1億円に届かないケースは「申告漏れ」などと呼ばれ、犯罪とは見なされません。

ただし、脱税額が1億円には及ばないから犯罪にはならないと考えて、作為的に相続税を減らそうとすべきではありません。
1億円未満であっても故意による過少申告などに対しては、重いペナルティが課されます。

この点については、最後の方でさらに詳しく説明します。

相続開始前の預金引き出しも、税務署には丸見え

初めて遺産相続と向き合う人の中には、相続開始後の預金残高が少なければ相続税も抑えられると考え、相続開始前に慌てて被相続人の預金を引き出す人もいます。

これは無駄なことです。
税務署は被相続人の預金口座の入出金明細を簡単に入手できるため、不自然なお金の流れがあればすぐに指摘されます。

さらに税務署は、相続人の預金口座をも調べることができるため、被相続人の預金口座から引き出したお金を相続人の口座へ入金するなどの動きは簡単に把握されます。

引き出した預金を、現金の状態で自宅などに隠しておくことも無駄です。
それどころか最悪の場合、悪意のある財産隠しと見なされて非常に重いペナルティを課される可能性もあります。

ただし、被相続人の医療費や葬儀代など、まとまった現金を引き出さなければならない事情があるなら、預金の引き出しについてきちんと申告しさえすれば問題ありません。

税務署の調査能力を侮るべからず

税務署の調査能力は、私たち一般人の想像をはるかに超えたものです。
国民の財産に関してありとあらゆる情報を保有しており、ごくプライベートと思える領域について調査する権限も持っているからです。

例えば、被相続人の預金口座についてです。
被相続人の年金や給与の受取口座や、公租公課の引き落とし先にしていた金融機関がどこなのかは、税務署が調べればすぐに判明します。

なお税務署は、単なる預金残高だけでなく最長で過去10年分の取引明細を入手することができますから、相続開始前後のお金の動きは確実に見られていることになります。

別の手がかりは、被相続人が相続人であった時に提出した相続税申告書です。
それにより、被相続人がどのくらいの遺産を相続したのかが分かってしまいます。

被相続人が、自分が相続した遺産をほとんどそのままにして亡くなることも珍しくないため、重要な手がかりとなります。

税務署は、日本国内の資金の流れをほぼ掌握しており、必要と思われる調査を行う権限も持っているため、私たち一人一人のお金の動きはすべて見られているも同然です。

「なんとかごまかせるかもしれない」などと考えるのは愚かなことです。

犯罪としての脱税は刑事罰へ。ミスに対してもペナルティ有り

前述のように、犯罪にあたる脱税で起訴された場合は、刑事罰を科される可能性があります。

実際、脱税で起訴された人のほぼ全員は有罪宣告を受けているとされています。そのうち一部の人は実刑判決を受け、懲役刑に服すこともあります。

もしサラリーマンが脱税で起訴され、さらに実刑判決まで受けてしまえば、そのまま会社に在籍することはほぼ不可能となるでしょう。
自分で事業をしている場合も、長期間の休業によって廃業に追い込まれるかもしれません。

目先の税金を惜しんだあまり、人生を棒に振ることになってしまいます。
犯罪としての脱税でないとしても、追徴課税というペナルティを受けるケースがあります。

例えば、評価額の計算間違いや財産の把握漏れなどによって、実際よりも少ない相続税を申告・納税してしまう「申告漏れ」はよくあるケースです。
申告漏れには、延滞税が課されます。延滞税は、本来納めるべき相続税額に所定の税率をかけて計算されます。

原則として、相続税の納期限翌日から2か月間の税率は7.3%、2か月を経過した場合の税率は14.6%となります。

申告した相続税額が実際のものよりも少ないことに気が付かず、税務調査などによってそのことを指摘されると「過少申告加算税」が課され、追加される税額のうち原則として10%が追加されます。

故意による財産隠しが発覚した場合は「重加算税」が課されます。
期限内に申告書を提出している場合は本来の税額の35%、申告書を提出していない場合は40%もの追加となります。

刑事罰には該当しないものの故意の行為のため、非常に重いペナルティが課されるのです。

そうなる前に早めに専門家へ相談を

相続税の脱税は、リスクが大き過ぎる行為です。
諜報機関に匹敵するほどの調査能力を持つ税務署を、決して甘く見ないほうがいいでしょう。

相続税を支払うお金がなくて困っているなら、脱税を考えるのではなく早めに専門家に相談しましょう
当窓口では、相続に関わる各士業のプロが連携し、お客様にとって最適な対応策をご提示いたします。悩む前に、まずはお気軽にご相談ください。