相続で受け継ぐ「資産」には「負債」も含まれる。資産と生前対策について解説

相続とは、被相続人の保有していた一切合切を受け継ぐことです。
お金や不動産など、多くの人が欲しいと思う資産だけでなく、借金などの負債もまとめて受け継がなければなりません。

将来、被相続人として資産を相続させるなら、自分が持つ資産に応じた生前対策を講じておきましょう
そうすれば、家族がスムーズな相続をする点で大いに貢献できます。

ここでは、適切な生前対策について考えてみたいと思います。

相続人にとってメリットのある資産とは

相続人にとってぜひ相続したいと思うのは、価値のあるプラスの資産です。
代表的なものとしては、金銭不動産などがあるでしょう。

その他にも、有価証券類や生命保険金、家具、自動車や船舶などの動産、特許権や著作権などの権利、宝石や貴金属などもプラスの資産に含まれます。

なお、相続開始前3年以内の贈与財産と、相続時精算課税制度を利用した贈与財産もプラスの資産の範囲に含まれます。
贈与から時間が経っていると忘れてしまいがちですので、注意しましょう。

被相続人の負債も、マイナス資産として相続される

相続とは、被相続人の資産や権利すべてを受け継ぐことを意味します。
そのため、プラスの資産だけを相続するというわけにはいきません。被相続人に負債などのマイナス資産があれば、それも相続する資産に含めなければなりません。

被相続人のマイナス資産として代表的なものは、住宅や自動車などのローンクレジットカードの未払金医療費の未払い分税金などの未納分などです。

被相続人が誰かの保証人になっていれば、その保証債務もマイナス資産の範囲に入ります。

借金や債務とは別のものですが、被相続人の遺体搬送や葬式の費用、火葬や納骨などの費用もマイナス資産に含めます。
所得税の準確定申告で支払う所得税も同様です。

資産の状況に合わせ、生前から相続対策を

現状の資産にプラスの資産が多く、相続税の基礎控除額を超えそうなのであれば、生前から早めに相続税の節税対策を講じておく必要があります。

例えば、贈与税の非課税枠を利用した少額贈与が活用できるかもしれません。
1月1日から12月31日までの1年に、贈与する相手1人あたり110万円までは、贈与税をかけずに贈与できます。贈与する相手が複数いるなら、これだけでも大きな節税効果が生まれるでしょう。

空き地を持っている人であれば、評価額を下げて相続税を抑えるために賃貸住宅の建設を検討するのも効果的です。

空き地はそのままだと評価額が高額になり、相続人の相続税負担も重くなりますが、賃貸住宅を建設すると土地の評価額が大幅に下がるだけでなく、賃貸住宅の建設費用に支出した分、資産を減らすこともできます。

さらに、賃貸住宅は定期的に家賃収入を生むため、相続人にとって相続するメリットの大きい資産を遺すことにも繋がります。

生命保険料を支払う余裕があれば、生命保険金の非課税枠を利用した節税も可能です。
生命保険金には、法定相続人1人あたり500万円という非課税枠があります。相続人の人数が多いほど、効果的な節税対策となるでしょう。

では、資産がほとんどなく負債ばかりを遺すことになりそうな場合は、どのような生前対策ができるでしょうか。
気が進まないことかもしれませんが、できれば負債の存在について生前に知らせておきましょう。もし直接知らせなくないと思う場合は、遺言書などに記載し、相続開始後に見つけてもらえるようにしておきます。

被相続人の資産に負債が多いと、相続人は「相続放棄」という選択をして負債の肩代わりを回避する必要があります。
相続放棄には期限があるため、うっかり超過して負債を相続してしまった、という例もあるのです。

相続人は被相続人の資産調査を行いますが、手がかりをかき集めてしらみつぶしに行わなければならないため、非常な負担となります。
もし、負債の状況を被相続人自らが知らせてくれるなら、非常に助かるに違いありません。

相続開始後の家族のため、資産を把握しやすいよう工夫する

資産のことは、家族と言えども大っぴらにしたくないプライベートな情報かもしれません。
しかし資産を正確に把握できなければ、家族は相続手続きをスムーズに進めることができません。

プラスの資産の全貌が分かりにくくなっていると、家族は資産調査にたくさんの時間をかけなければなりません。なかなか次のステップに進めず、相続税の申告期限に間に合わなくなってしまえば、追加で税金を課されてしまいます。

先に述べた通り、マイナスの資産の影響はもっと深刻です。家族がマイナス資産を把握できなければ、家族に負債を負わせてしまうかもしれません。

家族が調査する時のために、取引のある金融機関やカード会社は極力少数にしておくことも対策の一つです。少数であればあるほど、調査の手間は軽くなります。
また、遺言書をはじめ、契約書や借用証書、通帳など、資産調査に必要なものはできるだけ1ヵ所にまとめておくと、相続人が見つけやすいでしょう。

プラスの資産が多い場合も、マイナス資産ばかりの場合も、エンディングノートなどに自分の資産についての情報を記しておくと、家族の役に立ちます。
家に保管していても見つけてもらえるか不安という場合は、信頼できる友人や税理士、弁護士などに託しておくことも検討しましょう。

早い段階で専門家に相談をするべき

相続される資産には、負債も含まれます。
資産状況に合わせ、必要な節税対策または家族への資産状況告知の準備をしましょう。
遺される家族が苦心しながら相続することのないよう、生前に良い準備をしておきたいものです。