二世帯住宅にかかる相続税は「小規模宅地等の特例」で節税しよう

相続税を大幅に圧縮するためには、特例制度を使うことが効果的です。
そこで今回は、不動産を所有している場合にぜひ知っておきべき、「小規模宅地等の特例」という制度についてご紹介したいと思います。

不動産を所有している場合の相続税の計算方法をおさらい

相続税は、次の式を用いて計算します。

(課税対象価額-相続税の基礎控除額)×税率=相続税額

相続税の税率は、基礎控除後の課税対象価額によって異なります。

相続財産に不動産が含まれる場合は、課税対象価額を求めるために、まず不動産の評価額を調べる必要があります。
不動産が土地であれば路線価方式もしくは倍率方式にて、建物の場合は固定資産税評価額に基づいて評価額を計算します。

路線価とは、その土地に面している路線(不特定多数の人が使用する道路)について設定されている、1平方メートルあたりの価額のことです。路線価が設定されている道路に面した土地は、路線価を土地の面積に乗じることで評価額を求めます。土地の形状や道路との接し方によっては、評価額が増額または減額となることがあるため注意が必要です。

路線価のない道路に面している土地は、倍率方式を用います。
土地の固定資産税評価額に、地域ごとに設定された倍率を乗じることで評価額を求めます。
倍率方式には原則として、土地の形状などによる評価額の変動はありません。

建物の場合は、評価額を計算する必要はなく、固定資産税評価額が、そのまま評価額となります。
固定資産税評価額は定期的に見直され、これを「評価替え」と呼びます。評価替えの周期は3年に1度となり、直近では2018年(平成30)が基準年度となっているため、次回は2021年に行われる予定です。

評価替えの際、固定資産税評価額は増減することがあります。評価額計算の際には、必ず直近の固定資産税評価額を確認するようにしましょう

「小規模宅地等の特例」ってどんな特例?

相続人や宅地の面積などについての一定要件を満たした場合、被相続人が居住したり事業に用いたりしていた宅地の相続税評価額を50%もしくは80%減額できる、という特例です。
二世帯住宅へ小規模宅地等の特例(以下、特例)を適用する際には、80%の減額となります。

被相続人が住んでいた自宅や、事業を行っていた店舗などの建物は、被相続人の死後も遺族が生活していくために必要不可欠な相続財産です。
都心など地価の高い地域にある宅地の評価額は、それひとつで相続税の基礎控除額を優に上回ってしまうこともあり得ます。

そのような宅地に他の相続財産と同等の評価額が付けられれば、相続税は高額になるでしょう。場合によっては、相続税を支払うために自宅や店舗を売却しなければならなくなります。

相続税は遅滞なく納めるべき税金ですが、それが遺族の生活を圧迫するようなことがあってはなりません。
つまり、遺族の生活保障をおもな目的とした特例と言えるでしょう。

減額割合が大きく、相続税節税という面では非常に魅力的なこの特例ですが、二世帯住宅に適用させる場合はいくつか満たすべき要件があります。
続く部分から考えていきましょう。

二世帯住宅へ特例を適用するための要件とは

小規模宅地等の特例は、二世帯住宅の宅地にも適用できます。

ただし、二世帯住宅を相続したのが被相続人の配偶者、および同居していた相続人であり、かつ相続税の申告期限まで二世帯住宅に住み続けていなければなりません

同居していない親族に特例を適用することも不可能ではありませんが、相続開始前3年以内に自分や自分の配偶者名義の持ち家に住んだことがなく、相続した二世帯住宅を相続税の申告期限まで所有し続けることが条件です。

なお、同居していない親族に対する特例適用が認められるのは、被相続人に配偶者も同居の相続人もいない場合になります。
※詳しくは最新の法改正情報をご確認ください。

特例の適用可否は、宅地を取得した人と被相続人の関係によって大きく左右されます。また、特例は自分で申告しなければ適用されません。
そのため、相続税がかかるかどうかに関係なく相続税の申告期限までに申告書を提出し、それまでに遺産分割協議をまとめておく必要もあります。

二世帯住宅の「同居」の考え方や「登記」について

ところで、どのような形態であれば二世帯住宅で「同居」していると見なされるかについては、近年改正がなされています。

二世帯住宅には、内部で行き来のできる「非分離型」と、内部で行き来ができず玄関も別といった「完全分離型」があります。
従来、完全分離型の二世帯住宅には特例が適用できませんでしたが、平成26年からは完全分離型であっても同居とみなされ、特例を適用できるようになりました。

ただ、親世帯と子世帯で建物の「区分所有登記」をしていると、生計を共にしていない限り同居とはみなされません。
なお、区分所有登記をしている二世帯住宅において被相続人の配偶者が特例を利用する場合、特例を適用できるのは被相続人の区分所有割合に応じた部分のみとなります。

非分離型の二世帯住宅であれば、区分所有登記をしていても特例が適用できる場合がありますが、より可能性を高めるためには「共有登記」または「合併登記」などを行い、二世帯住宅を共有または同一の建物としておくこともできます。

また、相続時精算課税を利用した贈与や、相続開始前3年以内の贈与によって取得した宅地には特例を適用できませんので注意しましょう。

どの特例を使うべきかは専門家に相談を

ではここで、二世帯住宅に特例を適用するための要件をおさらいしてみましょう。
おもな要件は次の5つです。

  1. 被相続人の配偶者、もしくは同居していた親族が宅地を相続すること(いずれもいない場合にのみ別居の親族に適用可能。ただし諸条件あり)
  2. 相続税の申告期限まで居住していること
  3. 区分所有登記をしていないこと
  4. 遺産分割を終え、相続税の有無にかかわらず申告書を提出していること
  5. 相続時精算課税や、相続開始前3年以内の贈与によって取得した宅地でないこと

小規模宅地等の特例は、上手に活用すれば相続税を大幅に軽減できますので、ぜひ覚えておきましょう。

相続税には他にも配偶者控除の特例などと様々な特例や節約方法があります。
どの手法が適しているかは状況に応じて様々で、的確な判断が必要となります。

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